「コガネセンガン」は国内で最も多く作られている品種ながら、馴染みのない方も多いのでは?
見た目も白っぽく、ベールに包まれた偉人、ならぬ「偉芋」の歴史を紐解いていきます♪
コガネセンガン(黄金千貫)は歴史が長い
1966年に品種登録されてから、半世紀以上に渡って第一線で活躍してきた品種で、現在は、鹿児島県や宮崎県を中心に栽培されています。
皮が黄金色で収穫量が多いことから名づけられた「黄金千貫」は縁起のいい響きです♪
でんぷん質が非常に多いため、蒸してもべたべたならず、栗のようなホコホコした味わいからは、王者の威厳を感じます。
主に芋焼酎の原料として重宝されていますが、最近では青果用としても支持率アップ中です!
焼酎革命
焼酎は「芋くさい」から「上品な香り」へ。
1970年代の焼酎ブームの原動力といっても過言ではない歴史的な芋です。
それまで、芋焼酎は尖った匂いで、いわゆる「芋くさい」と言われていたのですが、コガネセンガンから作った焼酎は、クセがなく上品でふんわりした香りになると分かり、その後、人気が急上昇していったといいます。
以前、「コガネセンガン」の一大産地、鹿児島県鹿屋市で焼酎工場と畑を取材させていただきました。
そこには、焼酎メーカーが農業生産組合を立ち上げ、「芋づくり」からこ
だわる姿が!
焼酎の味は芋で決まると考え、味を追求するうちに芋づくりに辿り着いたとのこと。
芋に少しでも傷んでいる箇所があれば、えぐみにつながってしまうため、1日に30tもの「コガネセンガン」を10数人の手でひたすら切り分ける姿は、
ここまでするのか~!と驚きました。
完成した焼酎は、雑味がなくキレのいい甘さで、香りもスッと体に馴染むほどふんわりした優しさ。
芋の鮮度と品質の高さ、そして丁寧な焼酎づくりから生まれる繊細な味でした。
「コガネセンガン」の歴史を繋いできた一大産地・鹿児島がなせる業に、しびれるほど感動したのでした。
ちなみに、この「コガネセンガン」の誕生も鹿児島の地から。
品種開発は鹿児島試験場(鹿児島市紫原)からはじまりました。
その後、九州の試験場で研究が進み、10年かけて開発された品種。
今では、鹿児島県が全国1位の一大産地です。
鹿児島では身近な存在
鹿児島県では、全体の70%近くを占める栽培面積を誇ります。
〈コガネセンガンの作付面積〉
順位 | 都道府県 | 作付面積(ha) |
1位 | 鹿児島県 | 4,640.0 |
2位 | 宮崎県 | 2,089.5 |
3位 | 長崎県 | 16.7 |
4位 | 熊本県 | 8.3 |
5位 | 福岡県 | 2.4 |
圧倒的な生産量を誇る鹿児島県では、「コガネセンガン」が身近なところに存在しています。
鹿児島のブランド「かごしま黒豚」の餌に混ぜられ、さつまいものでんぷんが、豚の脂肪の質を上げてくれるのだとか。
また、お菓子作りにも必要不可欠で、産地の鹿屋市には大手食品メーカーの芋けんぴ工場や、全国的に有名な唐芋スイーツの工場などもあり、さつまいも関連も産業まで動かしています。
もはや、「コガネセンガン」は私たちの生活に欠かせない「絶対王者」ではありませんか!
推しのでんぷんを芋けんぴで愛でたい
でんぷん質が多い「コガネセンガン」は油との相性が !◎
特に、新鮮なものは見事なまでに、外カリッ!中ホクッ!に揚がるんです。
「コガネセンガン」を棒状にカットして油で揚げ、砂糖や塩をまぶしたら極上芋けんぴの完成♪
甘みがあっさりしているからこそ、本来の力強い芋の香りが引き立ちます。
そして、カリッとした食感の中からは、なんとも儚いきめ細やかなホクホクの舌触り。
私は、芋けんぴをつまみに芋焼酎を嗜みます(笑)「コガネセンガン」は、もはやエンタメ♪
まとめ
半世紀以上愛されている「芋の王者」は、私たちの生活に欠かせない絶対王者♡
鹿児島がその活躍を支えているなんて、さすが、生産量1位のさつまいも王国ですね!
鹿児島のさつまいも特集ページはこちら🍠
ライター:かごしまぐるり さつまいも部長🍠 鳥越佳那