てんぷ畜産

てんぷ畜産
さつま町で牛の畜産業を営んでいます。生産方法やどんな餌で育てているかなどを知った上でお肉を食べる事で、より食べる物への感謝や理解を深めていただけたら嬉しいです。
鹿児島県の中北部に位置するさつま町で牛の畜産業を営んでいる「てんぷ畜産」です。

「てんぷ畜産」という名前の由来は、「天賦」(てんぷ)という言葉に由来しています。
「天賦」には天から賦与されること。また、与えられたもの。という意味があります。

私たちは牛を含む、食べ物はすべて生命の一部であり、天からの授かり物だと考えていることから「てんぷ畜産」と名付けました。

現在は大手企業の牛を預かり育てる預託業、自分の牛を飼って子牛を育てる繁殖業、自分の目指す牛肉を作り加工や販売をする六次産業と三つの仕事を兼業しています。

現在は2ヘクタールの土地で預託の親牛を60頭、子牛を48頭。
自分たちで親牛を16頭、子牛を7頭、全131頭を育てています。

私たちは元々自分たちや自分の子ども達が安心して食べたいと思える生産物を作りたい、そして、消費者もしくは飲食店に直接自分たちの手で届けたいという考えがありました。

ところが、現在牛がお肉になって人々の口に入る為には分業化が進んでおり、沢山の人達が必要になります。
種牛屋さん、繁殖屋さんから始まり、肥育屋さん、屠畜屋さん、卸屋さん、お肉屋さん、飲食店さんもしくは小売り屋さん・・・こうしてやっと皆さんの口に入るのです。

一つ一つに技術が必要で、繁殖屋である我々がお肉の状態にまでするのはかなりのハードルがあります。
しかし、自分たちが良いと思って作った牛肉を自分たちで食べたい、そして皆さんに食べて貰いたいという気持ちが私たちの六次産業化の原動力になっています。
ここで少し私たちの自己紹介をさせてください。

私、鈴木理夫は東京生まれ東京育ちで
17~23歳まではフランスでトランペットを演奏して生活をしていました。
帰国後は畜産とは全くの異業種の不動産業界で10年以上働いていました。
不動産業界で働くことももちろん好きでしたが、年齢を重ねる内に自分が働くことに社会的な意義を考えるようになりました。

そこで考えたのが担い手不足の業界で働いてみようということでした。
元々私は食べる事が好きで、色々なモノを食べているうちに農業、とりわけ畜産に尊敬と憧れを抱き、子ども三人と妻を一年かけて説得し、2016年に田舎移住と新規就農を致しました。

新規就農と一口に言っても私も妻も全くの未経験でしたので、就農するまでに、良い牛を育てるために必要と言われている資格を三つ取得し、更に三年の時を要しました。

現在は大手企業の牛を預かり育てる預託業、自分の牛を飼って子牛を育てる繁殖業、自分の目指す牛肉を作り加工や販売をする六次産業と三つの仕事を兼業しています。

仕事の一方、私は「シャトーブリアン鈴木」として婚活パーティや結婚式二次会での司会やDJ活動もしています。

妻の祐佳は、大分生まれ大分育ち、18歳に上京し鹿児島に移住するまで12年間東京で過ごしていました。

都内から引っ越してから子どもたちが通い始めた地元の小学校の児童数は、学校全体が30人ほどで非常に驚いたことを覚えています。

今は朝、子どもたちの見送りをして洗濯から、お弁当作り、牛舎へ行って朝の餌やりしたらもうお昼。
昼から肉の事したら、すぐ夕方の餌やりの時間、餌やりしたら子供迎えに行って夕飯。
毎日がめくるめく速さで過ぎていきます。
元々は全く農業とは関係なくどちらかと言うとシティボーイ、シティガールだった我々、今では毎日ウシまみれです。
簡単ですがこんな私たちを宜しくお願いします。
私たちが目指しているのは「テロワール・ミレジム・顔の見える餌」
※ミレジム=年を重ねた牛でしか出せない味わいと言う意味で使っています。

私がフランスで生活していた頃驚いたのは、マーケットに行くと、一般の買い物客が店員に肉の産地や、食べていたであろうエサの種類まで聞いたうえで購入する人が大勢いたことです。
フランスでは、日常の食べ物を購入する時にも、その食材が、その地域を取り巻く自然環境の要因から成る、その土地独自のものなのかという観点が大切にされているのだと実感しました。
そのような考え方を「テロワール」と表現するのだそうです。
例えば気温が違えば育つ作物が違う、土壌が違えば味わいがかわる、というようなことを指すのだと私たちは解釈しています。
さて、私たちはといいますと小規模農家で少量生産しかできませんので品質と供給を安定させる事は諦めて「この土地独自の牛(テロワール)」を目指して牛作りをしています。

ブランド名は「てんぷ牛」と言います。
牛も違えば餌もその時々に違うので毎回コンセプトを変えて牛を育てています。
共通するのは、この土地の独自性を活かすことと牛をのびのび育てることです。
具体的に私たちの育てる牛は、いわゆる一般的に飼育されている牛とは大きく違います。
それは「餌と年齢」の点においてです。

まず私たちは、牛が年齢を重ねれば重ねるほど美味しくなると考えていますので10歳以上の雌牛がほとんどです。
次に餌ですが、いわゆる餌屋さんから買う配合飼料や添加物は一切使わずに、私たちが顔の見える近隣の農家さんが作る飼料、とうもろこしサイレージ(とうもろこしの実、茎、葉っぱなどを丸ごと発酵させた飼料)、牧草、稲わらや町内の竹発酵粉などのなるべく近くで取れる餌、どうやって作られたかを我々が知っている飼料、なるべく自然のものを使って牛を仕上げています。
配合飼料を使わずに育てる事で、通常の半量ほどしかお肉が取れない厳しい現実や、びっしりとサシが入らないことなどのデメリットもありますが、屠畜時に内臓が健康で破棄がほとんどない事から(一般的には屠畜された牛の半分程度が破棄※になります。)年齢は重ねても牛が無理をせず健康的な牛である事が想像できます。
※内臓の破棄=内臓が病気などで食用に適さない為、屠畜場で捨てられます。

今回お届けするのは私たちの育てた「てんぷ牛」を使い、日本でも珍しい生ハム専門工場と打ち合わせを重ねて開発した「生ハム」です。
なぜ私たちが生ハムを選んだのか説明させてください。

私たちは経産牛の精肉を一般家庭で取り扱うのは難しいと判断しています。
例えば、年を重ねた牛はスジが固かったり予期せぬ場所にスジがあったりする為、家庭で美味しいステーキや焼肉を食べる為にはお肉屋さんやシェフのような肉捌き技術が求められます。
そして、火入れです。焼いて縮むような部位もある為に見極めが必要になります。
続いて食べるタイミングの見極めです。
経産牛の肉は個性があり、何もせずとも柔らかい肉もあれば、繊維が絡まって固くなっている肉もあります。その肉を適切に保管して状態を見極める事はとても難しいです。
せっかく美味しいお肉も取り扱いが難しければ皆様に美味しく食べて頂く事は難しいと考えました。
そこで、例えば開けただけで食べれる、湯せんしただけで美味しいなど簡単に食べれる加工を検討し、生ハムはもちろん、レトルトカレー、ビーフジャーキー、パストラミビーフ、スモークビーフ、ソーセージなどなど多岐に渡る試作をしましたが、開けるだけで食べられて取り扱いが簡単で冷凍で保存すれば日持ちもし、てんぷ牛のお肉の良さを活かせるという点から生ハムを商品化することにしたのです。

牛の生ハムと言うと聞き慣れないかもしれませんが、生ハムの本場イタリアでは「ブレザオラ」と言って牛の生ハムもあり、レストランで生ハムの盛り合わせを頼むとほぼ入っているほど一般的だそうです。

生ハムはそのまま食べられますので、解凍後そのまま食べても美味しいです。
黒胡椒やオリーブオイルと合わせて味変でも楽しめます。
カルパッチョやサラダ、ピザやポテトサラダのトッピングにしても美味しく頂けます。

個人的なオススメはクラッカーにクリームチーズやカマンベールチーズ、生ハムを載せて食べることも気に入っています。
クラッカーのような食感のスティック状の細長いパン「グリッシーニ」にクルクルと巻いて食べるのも食卓が華やぐと思います。
(グリッシーニは生ハムを巻くために生まれたとも言われているそうです)

変わり種では、酢飯に合わせて生ハム寿司にして柑橘系を絞って頂いてもよろしいと思います。
フライドポテトに付け合わせたり、じゃがバターの上に塩辛の要領で生ハムをのせても美味しいです。
天ぷら屋さんではうちの生ハムを海老に巻いて天ぷらにもしてくださいました。
生ビール、スパークリングワイン、辛口な焼酎のソーダ割やお湯割りにも合うと感じています。
みなさんの生活に生ハムがより身近な存在になることを目指して生ハムづくりに励んでいます。

私たちのしている六次産業化は一般的な慣行方式ではありませんので賛否両論があると思います。
しかしながら、生産方法やどんな餌で育てているかなどを知った上で肉を食べる事でより深く食べ物(動物)への感謝や理解が深まることは私たちにとっても嬉しい事です。
食の多様性の一つとして我々のような特殊な畜産農家も是非応援頂けましたら幸いでございます。

てんぷ畜産
鹿児島県薩摩郡さつま町平川2500(農場)
空港から車で1時間。新幹線でしたら薩摩川内駅もしくは出水駅から車で30分。
見学の際は事前に予約をお願いします。

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