農Life
志布志発祥の白いちご『淡雪』をはじめ、こだわりの苺をお届けしています。真心こめて育てた旬の味わいをぜひお楽しみください。
鹿児島県の東部に位置する志布志市。太平洋に大きく開けた沿岸部には海上物流や定期旅客船のターミナルがあり、人とモノが盛んに行き交う街として発展してきました。「志布志市志布志町志布志…」の看板はテレビでも取り上げられ、目にされた方も多いのではないでしょうか。「志」という文字が縁起の良さを感じさせますが、その名の由来は天智天皇の時代にまで遡ると言われます。この志布志市に丸野さんが移住されてきたのは約18年前。当時はまだ3町(志布志町・有明町・松山町)合併前の曾於郡松山町でした。野(や)菜づくりと畜(ちく)産が盛んなことと、「やっていこう・やりとげよう」という言葉をかけ合わせた「やっちく松山藩」という町民主体のミニ王国がシンボルです。年に一度の秋祭りでは甲冑を着た武者行列や野菜の振る舞いで大いに賑わいます。
丸野さんが移住を考えたのはご主人の晃一さんの提案でした。「この先人口が増え続けると食糧危機が起こるかもしれない。そうなると循環可能な食糧生産ができる農業が重要になる」。大学の講義をきっかけに、農の世界に惹きつけられた晃一さんは就農説明会や農業研修に足を運ぶことになるのでした。 当時の松山町の農業公社が説明会で好印象だったことや晃一さんのお父さんの出身が鹿児島県だったこと、そして海に近いロケーションならば趣味のサーフィンも楽しめる…という要因が重なり鹿児島へ移住して農業を始めることを考えたのでした。一方、惠美子さんは職場の同僚だった晃一さんが夢を叶えるために貯金をしたり勉強をしているのを見ながら「熱心で感心だなぁ」と感じていたのだとか。それから二人は人生の伴侶となり、まさか自分も一緒に農業への道を歩むことになるとは…というのは後になって振り返ったお話。就農研修を終えて独立した後、環境に配慮した生産方法に舵を切る出来事がありました。いちごの苗の病気が発生してしまったとき、薬で消毒するのではなく健康な土壌づくりを目指し敢えて減農薬農法を選択したことが功を奏して以前より実が多く収穫でき、味も良くなったとのこと。安心・安全で美味しいイチゴだとたちまち評判となります。若手農家たちと共に「生産組合 農Life」としてスタートした後も、独自ブランドの強みを活かして続々と販路開拓をしていきました。その反面、生産から販売までを一貫して行うことで大変さも並大抵のものではなく、寝る間を惜しんで夜通し作業が続くこともあったそう。経営の体制が変わることもありましたが、ふるさと納税の返礼品やレストランからの注文、加工品の開発など休まることなく次々と新しい仕掛けを行って志布志の特産品に農Lifeのイチゴありと言われるほどになったのでした。
そんな中、2020年に新型コロナウイルス感染症が流行。その年の観光農園はシーズン真っただ中だったにも関わらず中断することに加え、出荷の予定も狂ったことでイチゴの在庫が増えて苦しくなったこともありました。そして翌年、病により晃一さんが急逝。どうして―、こんなにも辛く苦しいことが続くのだろうか―。一人残された惠美子さんは打ちひしがれ、このまま農家を続けられるのだろうかと葛藤するのでした。けれど今季もいちごの定植作業を終えてしまい、やがて忙しい時期がやってきてしまう。癒える間もないまま仕事に戻ると、晃一さんと二人で始めた農業を通じて実に多くの関わりが生まれていることを感じた。従業員や地元のアルバイトの学生たち、いちごを楽しみに待つ消費者の方たち、そしてこの場所で成長していった子供たち。農Lifeはこの地でかけがえのない大きな存在になっていたのです。いちごを通じて人びとを幸せにしたいという想いは間違っていない。晃一さんの「志」を継いで二人の夢を歩んでいこうと今日も惠美子さんは畑に向かいます。現在5つの品種を扱っていますさがほのか…代表的なポピュラー商品、酸味と甘みのバランスが良い恋みのり…実が大きくなりやすく、ハート型になるのがキュート紅ほっぺ…熟すとブドウのような深い味わいが出て来るよつぼし…播種で増える珍しい品種。ベリーのような風味が人気淡雪…志布志発祥の白イチゴ。香りが良くやさしい甘さがあるいちごの収穫が無い夏場にはいちごのアイス『ソルベ』や地元のチーズ職人さんとのコラボ商品など通年楽しめます。またいちごのフリーズドライは鹿児島の六次化自販機で志布志市の特産品として扱われるようになりました。今シーズンは約3年ぶりに観光農園を開きたいと語る惠美子さん。かつて観光農園の最初と最後には感謝祭と銘打ちミュージシャンや近隣のコミュニティを招いた一大イベントを企画していました。松山町の中心で大勢の人が集って賑わう、またそんな時間を作りたい―。いちごを通じて人々を笑顔にするという農Lifeのチャレンジはこれからも続きます。